血糖値対策ウォーキングで膝を壊さないために|下腿三頭筋を活かす正しい歩き方とリハビリ的トレーニング

query_builder 2025/11/23
腰痛
IMG_8757

健康のために歩いたのに、膝が痛くなる不思議


この序章では、「健康のために歩きましょう」と言われて頑張っているのに、なぜか膝が痛くなってしまう方のお話をしていきたいと思います。


フィジオ・リスタート ASHITA 血流リハビリ柏整体院にも、まさにそのお悩みで来院された方が何人もいらっしゃいます。


たとえば、定期健診で「血糖値が高めですね。このままだと将来的に糖尿病のリスクが上がるので、できるだけ歩く習慣をつけましょう」とお医者さんに言われたとします。


真面目な方ほど、「それならやるしかない」と毎日ウォーキングを始めます。


朝早く起きて近所の公園をぐるぐる歩いたり、帰り道で一駅手前で降りて歩いたり、工夫しながら頑張るわけです。


最初のうちは、「ちょっと疲れるけど、なんだか身体に良さそう」と前向きな気持ちになります。しかし、数週間たったあたりから、ふとした瞬間に違和感が出てきます。


「あれ?右の膝の内側が少しズキっとするな」

「階段を降りるときに膝が重い感じがするな」

といった、イヤな予感がするサインです。


それでも多くの方は、「せっかく始めたし、ここでやめたらまた太ってしまうかも」「血糖値のこともあるし、多少痛くても頑張らないと」と自分に言い聞かせて歩き続けます。


すると、今度は違和感がはっきりした痛みに変わってきます。

「歩き始めがつらい」「買い物の帰り道がしんどい」「湿布を貼ってもあまり変わらない」。


こうなってくると、だんだんウォーキングそのものが憂うつになってきます。 ここで、多くの方が心の中でこんな疑問を抱きます。


「健康のために歩いているのに、なんで膝が壊れそうになっているんだろう」

「そもそも、私は歩かない方がいいタイプなのかな」。


頑張った結果、逆に痛みと不安を抱えてしまうと、「結局なにが正解なの?」と途方に暮れてしまいますよね。


一般的に言われるのは、

「1日1万歩を目標にしましょう」

「とにかくたくさん歩くことが大切です」

といったアドバイスです。


メディアでもよく聞くフレーズですし、健康本にもよく登場します。


もちろん、まったく動かない生活よりも、ある程度歩いた方が血流や心肺機能にとってプラスに働きやすいことは事実だと思います。


ただ、ここで一つ大事なポイントがあります。


それは、「どれくらい歩いたか」という“量”の話と、「どんな歩き方をしているか」という“質”の話は、本来セットで考えないといけないという点です。


ところが現実には、この“質”の部分がすっぽり抜け落ちたまま、「とにかく歩きましょう」というメッセージだけが一人歩きしているケースがとても多いです。


実際、当院にいらっしゃる方のなかには、「血糖値のために、毎日1時間歩いていました」という、とても頑張り屋さんの方がたくさんいます。


ただ、歩き方や体の使い方をチェックしてみると、膝が内側に入るクセが強かったり、ふくらはぎの筋肉が十分に使えていなかったりして、「これでは膝にダメージが溜まりやすいだろうな」と感じるケースも少なくありません。


とはいえ、「じゃあ歩くのは良くないのか」というと、もちろんそんなことはありません。


歩くこと自体は、血流を良くしたり、筋肉を動かして代謝を上げたり、ストレス解消になったりと、良いことがたくさんあります。


問題は、「あなたの膝や筋力、姿勢の状態に合っていない歩き方や歩く量になってしまっていること」なのだと思います。


このブログのテーマである「正しい歩き方指導が必要な理由」は、まさにここにあります。どれくらい歩いたかだけでなく、

「どんな姿勢で、どこの筋肉を使って歩いているのか」

「膝や腰に負担が集中していないか」

「血流がちゃんと良くなるような歩き方になっているか」

という視点を丁寧に見ていくことが大切です。


次の章からは、筋ポンプ作用やふくらはぎ(下腿三頭筋)の役割、膝を壊しやすい歩き方のクセ、そしてそれを防ぐための筋肉の鍛え方について、できるだけやさしい言葉でお伝えしていきます。


「歩きたいけれど、膝や腰が不安」という方の頭と心の中が、少しでもスッキリ整理されるきっかけになればうれしいです。

第1章:歩くと血流が良くなる「しくみ」をちゃんと知っておく

この章では、「歩くと健康にいいですよ」とよく言われる理由を、からだの中で何が起きているのかという視点からお話ししたいと思います。


難しい専門用語だけを並べるつもりはないので、「なんとなく理科っぽい話は苦手だな」という方も、気楽な気持ちで読み進めてもらえたらうれしいです。


まず、大前提としてお伝えしたいのは、「血液がよく巡ること」は、からだにとってものすごく大事だということです。


血液の流れが悪くなると、酸素や栄養が届きにくくなり、疲れやすさや冷え、むくみ、だるさ、傷の治りにくさなど、いろいろな不調が顔を出しやすくなります。


反対に、血の巡りが整うと、細胞が元気に働きやすくなるので、修復や回復のスピードが上がりやすくなります。


ここで登場するのが、いわゆる「筋ポンプ作用」です。これをものすごくざっくりいうと、「筋肉がギュッと縮んだりゆるんだりするたびに、血管を外側から押して、血液を押し流してくれる仕組み」です。


ホースの途中をやさしく握って離すと、水が動きますよね。


それのソフト版が、からだの中で起きているイメージです。


特に下半身では、心臓から一度遠くまで送られた血液を、重力に逆らって上に戻さないといけません。


このとき、「さあ、心臓だけで全部頑張ってください」と丸投げしてしまうと、ポンプ役が一つしかなくて大変です。


そこで頼りになるのが、ふくらはぎを中心とした足の筋肉たちです。


立ったり歩いたりするときにこれらがしっかり動くことで、心臓のサポート役として血液を上へ押し戻してくれます。


その主役のひとつが「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」です。難しい名前ですが、ふくらはぎの分厚いところをまとめて呼んでいるグループだと思っていただければ大丈夫です。


具体的には、腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋という筋肉がセットになっていて、つま先立ちをしたり、踏ん張ったりするときにフル稼働します。


このふくらはぎの筋肉がよく動くと、静脈の中をゆっくりと戻っていく血液がギュッと押し出されて、上の方へ送り返されます。


結果として、足先にたまりがちな血液が循環しやすくなり、冷えがやわらいだり、むくみにくくなったりしやすいです。


「ふくらはぎは第二の心臓」と言われるのは、こういう理由があるからです。


ここで、日常生活を少し振り返ってみてください。


長時間イスに座りっぱなしで仕事をしていると、夕方に足首あたりがパンパンになっていたり、靴下の跡がくっきり残っていたりしないでしょうか。


あれは、ほとんど筋肉が動かない時間が続いて、筋ポンプ作用がサボっている状態です。


水道で言えば、蛇口は少し開いているのに、ホースの途中がずっと細く押さえつけられているようなものです。


この「サボり時間」が長くなればなるほど、血の巡りは悪くなります。だからこそ、「歩きましょう」という話が出てくるわけです。


歩くという動作の中には、ふくらはぎを動かすタイミングが何回も含まれています。


足首を曲げ伸ばししながら体重を移動させることで、下腿三頭筋がリズミカルに働き、ポンプのように血液を押し上げてくれます。 とはいえ、「ただ歩けばどんな歩き方でも同じ効果が出るか」というと、残念ながらそう単純ではありません。


足首の動きがほとんどなく、ベタベタと足裏全体をつけて歩いていると、ふくらはぎは意外とサボりっぱなしです。


逆に、かかとから着いてつま先でしっかり蹴り出すような歩き方だと、下腿三頭筋がよく働きます。


同じ距離を歩いていても、血流へのプラスの度合いが変わってくるのはこのためです。


さらにもう一つ大事なのが、「血流が良くなると修復が進みやすい」という点です。からだのどこかにダメージがあるとき、そこでは細かい傷の修復作業が地味に続いています。


その現場に材料(タンパク質など)や作業員(細胞)を運んでくれるのが血液です。


ですから、ふくらはぎの筋ポンプがよく働いて血の巡りが整うと、膝まわりや筋肉の小さな傷も、比較的スムーズにメンテナンスされやすくなります。


「なんとなく冷えがマシになった気がする」「前より足が軽い感じがする」という感覚は、決して気のせいだけではありません。


ふくらはぎをきちんと使って歩けるようになると、からだの中でこうした変化が少しずつ積み上がっていきます。

とはいえ、ここまで読むと「じゃあ、とにかくふくらはぎをガンガン動かして歩けばいいんですね」と思うかもしれませんが、そこにも落とし穴があります。


足の使い方や膝の向きがズレたまま頑張りすぎると、今度は関節に負担が集中してしまうことがあるからです。


次の章では、膝を痛めやすい歩き方の代表格である「ニーイン歩行」と、その背景にあるお尻や太ももの筋肉の問題について、少し掘り下げていきたいと思います。

第2章:膝が内側にねじれる「ニーイン歩行」と、お尻&太もものチームプレー

この章では、「膝を痛めやすい歩き方ってどんなものなのか」と、「それを防ぐために、お尻と太ももの筋肉がどんな仕事をしてくれているのか」をお話ししたいと思います。


ちょっとだけ専門的な単語も出てきますが、できるだけ日常のイメージに落とし込んでいきますので、気楽に読み進めてください。


膝が内側に入るクセ=ニーイン歩行とは?

まず押さえておきたいのが、「ニーイン歩行」という言葉です。 ニーインとは、そのまま訳すと「膝が内側に入る」という意味です。


歩いているときに、

○足を一歩出すたびに膝が内側に寄ってしまう


○つま先はまっすぐなのに、膝だけ内側を向いている


こういう状態になっていると、膝の内側にグッと負担がかかりやすくなります。


イメージとしては、 「本当はレールの上をまっすぐ走るはずの電車が、カーブのたびにレールから少し外れようとしている」 そんな感じです。


レール(骨の並び)がズレかけたまま何度もカーブ(歩行)を繰り返すと、当然どこかに無理が出てきます。


日常生活での「ニーインっぽいサイン」としては、


○靴底の減り方が、外側と比べて内側ばかり減っている


○写真を撮ると、立ち姿で膝が少し内側にくっついている


○階段を下りるときに、膝の内側がなんとなく怖い


こういったものがあります。


「ちょっと心当たりあるかも」という方は、膝への負担がじわじわ溜まりやすいタイプかもしれません。


なぜニーイン歩行だと膝が傷みやすいのか?

膝関節は、本来「曲げ伸ばしが得意なヒンジ型の関節」です。


これをものすごくざっくりいうと、「ドアの蝶番のように、基本は前後方向に動くことがメインですよ」という構造です。 ところがニーイン歩行になると、


○曲げ伸ばしだけでなく、内側へのねじれが加わる


○着地の瞬間に、体重が膝の内側にグッと乗る


こういった余計なストレスが乗ってしまいます。 その結果、


○膝の内側の軟骨や靭帯に負担が集中しやすいです


○歩くたびに「ちょっとずつイヤな力」が入る状態が積み重なります


一度の衝撃でガツンと壊れるというより、 「細かいダメージがコツコツ貯金されていく」イメージに近いです。

しかもこの“悪い貯金”は、利息までしっかりついてくるので厄介です。


ニーインは「膝の問題」だけではなく、実はお尻と太ももの問題

ここで勘違いしやすいのが、 「膝が内側に入るんだから、膝そのものが悪いんでしょ?」という考え方です。

実際は、膝だけが悪さをしているわけではないことが多いです。

多くの場合、


○お尻の筋肉(大殿筋)がうまく働いていない


○太ももの内側の筋肉(内側広筋)が弱くなっている


○股関節や足首の使い方にクセがある


といった「上と下の連携ミス」が起きています。

膝は、股関節(ももの付け根)と足首のちょうど間にある“中間管理職”のような関節です。 上がグラグラ、下もグラグラだと、その板挟みを食らうのが膝です。 「私に全部押しつけないで…」と膝が悲鳴を上げている状態です。


大殿筋:骨盤と脚を支える“お尻のエンジン”

まずは大殿筋(だいでんきん)です。

これはお尻の大きな筋肉で、脚を後ろに蹴り出したり、骨盤を支えたりするときに働きます。 ものすごくざっくりいうと、「身体を前に進めるためのエンジンの一つ」です。 大殿筋がしっかり働くと、


○一歩前に出した脚に、骨盤から安定して体重を乗せやすいです

○股関節がグラグラせず、膝の位置も安定しやすいです


逆に、大殿筋がサボりがちだと、

○骨盤が横に揺れやすくなります


○一歩一歩、膝の位置が内側にズレやすくなります


といったことが起きます。 「歩くとお尻があまり疲れない」という方は、 実は大殿筋があまり使われておらず、 代わりに太ももの前や腰の筋肉などが頑張りすぎている場合も多いです。


内側広筋:膝のお皿を支える“ブレーキ担当”

もう一人のキープレーヤーが内側広筋(ないそくこうきん)です。

これは太ももの前側のうち、膝の内側寄りについている筋肉で、 膝のお皿(膝蓋骨)をいい位置にキープする役割を持っています。

内側広筋がきちんと働くと、


○膝のお皿がスムーズに上下に動きやすくなります


○膝を伸ばすときに、内側へのグラつきを抑えてくれます


これをざっくり例えると、 「膝が内側に入りすぎないように、そっとハンドルを戻してくれるブレーキ役」です。


ところが、


○運動量が少ない生活が長く続いている


○太ももの筋トレをしているつもりが外側ばかり鍛えている


こういった理由で内側広筋が弱くなっていると、 膝のお皿の動きがアンバランスになり、ニーイン傾向が強くなりやすいです。


大殿筋と内側広筋がチームで働くと、膝は安定しやすい

大殿筋と内側広筋は、それぞれ役割は違いますが、 「膝が内側に倒れ込まないように支える」という目的は共通しています。


○大殿筋が骨盤と股関節をどっしり支える


○内側広筋が膝のお皿と膝の向きを微調整する


このチームプレーがうまくいくと、 一歩一歩の中で膝の向きが安定し、 膝の内側にかかるストレスがグンと減ります。

ここでポイントなのは、 どちらか片方だけを鍛えればいいわけではないという点です。

大殿筋だけ頑張っても、膝の手前で調整してくれる内側広筋が弱ければ、 “最後のひと押し”が足りません。

逆に、内側広筋だけ鍛えても、骨盤側の土台がグラグラでは、 上からの力に押し負けてしまいます。


「スクワットすればOK?」という落とし穴

ここまで読むと、 「なるほど、お尻と太ももの内側が大事なら、とりあえずスクワットしておけばいいんですね」

と思うかもしれません。


…が、ここが大きな落とし穴です。 自己流スクワットでよくあるパターンとしては、


○膝がつま先よりもかなり前に出ている


○真下にしゃがむのではなく、前のめりになって腰と太ももの前だけが頑張っている


○膝の向きが内側に入りながらしゃがんでいる


こういったフォームになっているケースがかなり多いです。


これだと、


○太ももの前(特に外側)と腰ばかり疲れます


○「お尻を鍛えたいのにお尻が筋肉痛にならない」

ということが起きます


○ニーインが余計にクセづいてしまうこともあります


つまり「スクワットしてます=大殿筋と内側広筋をちゃんと鍛えられている」とは限りません。 むしろ、フォーム次第では膝に負担を足してしまうこともあります。


ニーインを防ぐために必要なのは「筋トレ+使い方の再学習」 ニーイン歩行を改善していくためには、


○大殿筋・内側広筋という“必要な筋肉の強化”


○股関節や膝、足首の動かし方を整える“ボディメカニクスの再学習”

この両方が欠かせません。 筋肉だけを鍛えても、 歩くときのクセがそのままだと、 新しくついた筋力をうまく使えないこともあります。

逆に、動き方だけ直そうとしても、 そもそもの筋力が足りなければ、 正しいフォームを支えきれません。 とはいえ、「全部自分で完璧にやらなきゃ」と身構える必要はないです。

大事なのは、 「膝が痛いのは年齢のせいだけではなく、 お尻や太ももの筋肉のチームプレーが崩れているサインかもしれない」 と気づくことです。

この“気づき”があるだけでも、 その後の対策の方向性がガラッと変わってきます。

次の第3章では、 この大殿筋と内側広筋を、 「どうやって正しく鍛えていくか」 「代償運動(別の筋肉の頑張りすぎ)を防ぎながら育てるにはどうするか」 という点について、トレーニング理論とからだの使い方の両面からお話ししていきます。

第3章:狙った筋肉だけにちゃんと効かせるトレーニングの考え方

この章では、フィジオ・リスタート ASHITAで実際に大事にしている

「トレーニングの組み立て方」と「ボディメカニクス(からだの使い方)」

についてお話ししたいと思います。

簡単に言うと、せっかく頑張るなら、きちんと目的の筋肉に効かせたいですよねという話です。

「スクワットやってます」

「足上げ運動してます」

とおっしゃる方は多いですが、よくよく見てみると、鍛えたい場所とは違うところばかり疲れていることが少なくありません。

ここを修正できるかどうかで、「膝を守りながら歩けるようになるまでの近道か遠回りか」がかなり変わってきます。


1.まずは“ちょうどいい負荷”を決めるところから

筋肉を鍛えるときには、「どれくらいの重さ・きつさでやるか」がとても大切です。

ここでいうトレーニング理論は、難しい学問というより、“あなた専用の宿題の量を決めるルール”だと思ってみてください。


たとえば、大殿筋(お尻)を鍛えるエクササイズを行う場合、よくある目安が「10回〜15回くらいを、ギリギリ頑張れるくらいの重さ」です。


20回でも余裕でできてしまうようであれば、負荷が軽すぎて筋肉が育ちにくいですし、5回で限界が来る場合は、膝や腰に負担がかかりすぎている可能性があります。


フィジオ・リスタート ASHITAでは、

重り(錘)の重さ


◯何回×何セットにするか


◯週に何回行うか


◯どのタイミングで負荷を上げるか


といった点を、お身体の状態や生活リズムを伺いながら一緒に調整していきます。


「とりあえず限界までやりましょう」という根性論ではなく、「膝に負担をかけずに、ちゃんと筋力がついていくペース」を設計するイメージです。


2.回数・セット数・期間の“ざっくりガイド”

トレーニングの世界では、回数やセット数にもだいたいの目安があります。 もちろん個人差がありますが、膝の痛みをかかえた方に大殿筋や内側広筋を育てていくとき、よく使うパターンはこんな感じです。


◯回数:20


◯セット数:3セット


◯頻度:毎日


◯期間:   1〜4週(コンディショニング期)

5〜8週(筋力強化期)


これをものすごくシンプルに言うと、 「ちょっときついけど、なんとか続けられる量を、しばらくコツコツ積み上げる」ということです。

よくあるパターンとして、最初だけやる気全開で毎日ハードにやってしまい、1〜2週間で燃え尽きてしまうケースがあります。

頑張る気持ち自体は素晴らしいのですが、筋肉は“短期集中で一気に仕上げる”より、“適度な負荷を継続する”方が育ちやすいです。 勉強と同じで、テスト前だけ徹夜しても、翌週には忘れてしまうのとちょっと似ていますね。


3.ボディメカニクスで「フォームの質」を上げる

次に大事なのが、からだの使い方=ボディメカニクスです。

どんな筋トレでも、フォームが崩れてしまうと

「狙っていない所ばかり疲れる」

「痛い場所に負荷が集中する」という残念な結果になりやすいです。

たとえば大殿筋を鍛える代表的な種目として、ブリッジ(仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる運動)があります。


このときに意識したいポイントは、次のようなところです。


◯つま先と膝の向きをそろえること


◯お尻を持ち上げるとき、腰だけ反らせないこと


◯かかとに体重を乗せるイメージで床を押すこと


これらを意識すると、「腰の筋肉ばかり頑張るブリッジ」から「お尻がしっかり疲れるブリッジ」に変わっていきます。


同じ回数でも、効いている場所がまるで違うので、結果も変わってきます。


内側広筋のトレーニングでは、膝を伸ばす動き(レッグエクステンション系)がよく使われますが、そのときも、


◯つま先をまっすぐか、やや外

側に向けること


◯膝を伸ばし切る瞬間にギュッと意識を内側に集めること


◯3秒止めてゆっくり下ろすこと


細かい調整が大事になります。 こうした「数センチ単位の工夫」が、膝の安定感にじわじわ効いてきます。


4.代償運動を見逃さない工夫 トレーニング指導をしていると、本当に多いのが代償運動です。

代償運動とは、本来使いたい筋肉の代わりに、別の筋肉が勝手に頑張ってしまうパターンのことです。

たとえば、 大殿筋を鍛えたいのに、動きを見てみると腰を反らせて背中だけがカチカチになっているケースがあります。

この場合、終わったあとに「腰はパンパンだけど、お尻はあまり疲れていないです」とおっしゃいます。

筋トレとしては頑張っているのに、目的地を間違えている状態です。

代償運動を防ぐために、当院では次のような工夫をします。


◯動きをゆっくりにして、どこが疲れているかを一緒に確認すること


◯鏡や動画を使って、膝や骨盤の位置を目で見てチェックすること


◯「お尻に手を当ててもらい、固くなる感覚を確かめながら動く」など、触りながら覚えること


こうすることで、

「なんとなく動かしている」から「狙った場所を意識して動かしている」に少しずつ変わっていきます。

地味な作業ですが、この積み重ねがとても大きいです。


5.歩き方に“トレーニングの成果”を反映させる

トレーニングだけ上手になっても、日常の歩き方に活かされなければもったいないです。

フィジオ・リスタート ASHITA 血流リハビリ柏整体院では、筋トレと並行して「歩き方そのものの練習」もセットで行います。

たとえば、

◯鏡の前で、膝が内側に入らないラインを確認しながら足を出す


◯かかとから着いて、つま先で軽く蹴り出す感覚を掴む


◯お尻やふくらはぎに“ほどよい疲れ”がくる歩きを一緒に探す


といったステップです。 ここで大切なのは、完璧なフォームを一瞬で手に入れようとしないことです。 最初は「今までの歩き方9割+新しい意識1割」くらいでも十分です。

それを続けていくうちに、「7:3」「5:5」と少しずつ割合が変わっていきます。


6.現実的なハードルもちゃんと考える

「トレーニング理論」と聞くと、ストイックにやらないといけないイメージがあるかもしれません。

しかし、実際の生活では、仕事や家事、介護など、やることが山ほどあると思います


ですから当院では、


◯自宅でできるエクササイズを優先すること


◯所要時間は10〜15分程度に抑えること


 といった「続けやすさ」の工夫もセットで考えます。


次の第4章では、こうして組み立てたトレーニングや歩き方の修正が、実際の膝の痛みや血流、歩きやすさにどんな変化をもたらしたのか、具体的な事例を交えながらお話ししていきます。

「理論はなんとなく分かったけれど、現場ではどう使われているの?」という疑問が、少しスッキリしてもらえるはずです。

第4章:血糖値のためのウォーキングが「膝にやさしいリハビリ」に変わるまで

この章では、これまでにお話ししてきた内容が、実際の現場でどのように役立っているのかをイメージしていただくために、ひとりの方のケースをもとにお話ししたいと思います。


数字や専門用語の前に、「人間のストーリー」として感じてもらえたらうれしいです。


「歩かないとまずい。でも、歩くと膝が痛い」という板挟み

50代の女性で、事務職のお仕事をされているAさん(仮名)がいらっしゃいました。


健康診断で「血糖値が高めですね。このままだと将来が心配なので、できるだけ歩く習慣をつけましょう」と言われたそうです。

Aさんはとても真面目な性格で、「薬に頼る前に自分でできることはちゃんとやりたいです」と思い、 それまでほとんど運動をしていなかったところから、急にウォーキング生活をスタートしました。


朝、出勤前に近所を30分


◯休日は少し時間を延ばして40~50分


◯雨の日以外はほぼ毎日


こう書くと、「お手本のような生活ですね」と言いたくなるような頑張りぶりです。

ところが、2~3週間した頃から、右膝の内側に違和感が出始めました。

「最初はなんとなく重い感じだったんですけど、だんだん痛みっぽくなってきて…」とAさん。

そのうちに、

◯階段を下りるときに膝がこわい


◯ウォーキング後の帰り道がつらい


◯湿布を貼っても、良くなったのかよく分からない

という状態になってしまいました。

一番つらかったのは、「歩かないと血糖値が心配。

でも、歩くと膝が痛い」という板挟み感だったそうです。

「どっちを取っても不安が残るような気がして、何が正しいのか分からなくなりました」

とお話しされていました。

歩き方と筋力をチェックしてみたら見えてきたこと 初回来院時には、痛みのある膝そのものだけでなく、

◯立ち方


◯歩き方


◯筋力や柔軟性


もまとめて確認していきました。

その結果、いくつか特徴が見えてきました。

①一歩前に出したときに、膝が内側へ入りやすい(ニーイン傾向)

②お尻の筋肉(大殿筋)がうまく使えておらず、体重を支えるときに腰と太ももの前に負担が集中している

③太ももの前の内側(内側広筋)が弱く、膝の内側の安定感が不足している

④ふくらはぎ(下腿三頭筋)は硬さが強いわりに、筋ポンプとしての働きが不十分


つまり、Aさんは 「たくさん歩く」という量の部分だけを一気に増やしてしまい、 「どの筋肉で、どんなフォームで歩くか」という質の部分が追いついていなかった状態と言えました。

Aさん自身も、歩き方のクセを動画で一緒に確認してみると、 「こんなに膝が内側に入っているとは思いませんでした…」と驚かれていました。 自分の歩き姿って、なかなか客観的に見る機会がないですよね。



まずは「痛みを増やさない」ためのリセットから

いきなり筋トレをがっつり入れるのではなく、 まずは膝まわりの負担を減らすところからスタートしました。


◯膝の周囲の筋肉をやさしくほぐす徒手療法


◯大腿部やふくらはぎの緊張をとるアプローチ


◯関節の動きをスムーズにするためのモビライゼーション

などを行いながら、同時にウォーキング量の調整も提案しました。

「今の膝の状態だと、毎日40分は少しやりすぎかもしれません。

まずは時間を短くして、フォームを整えつつ少しずつ戻していきましょう」とお伝えし、 歩く時間を一時的に20分前後まで減らしてもらいました。

「頑張りたい気持ちはあるんですけど、膝を壊すのは怖いので、いったん見直してみます」と、Aさんも納得されていました。

この「いったん減らす」というのが、真面目な方ほど難しいのですが、とても大事な一歩です。



大殿筋・内側広筋・下腿三頭筋を“それぞれちゃんと働かせる”練習

痛みが少し落ち着いてきたタイミングで、 次に「膝を守るためのチームづくり」に入っていきました。

軸になるのは、

◯大殿筋(お尻)


◯内側広筋(膝の内側の安定役)


◯下腿三頭筋(ふくらはぎの筋ポンプ)

の3つです。



トレーニング理論に沿って、Aさんには

◯20回やったらきついと感じる

負荷

◯3セットを行うが、朝昼晩と

できない場合には2セット(5分の休憩があれば可能)と

1セットと朝と夜に分けられる


でメニューを作りました。


エクササイズ中は、フォームを細かく確認します。

◯膝とつま先の向きがそろっているか


◯腰だけ反っていないか


◯お尻やふくらはぎに、ちゃんと“効いている感じ”があるか


感覚が分かりにくいときは、狙っている筋肉の上に手を置きながら、「ここが硬くなってきたら正解ですよ」とお伝えしつつ、一緒に動きを確認しました。

Aさんも「どこを使えばいいかが分かると、家でも再現しやすいですね」と言われていました。


歩き方の“質”を少しずつ書き換えていく

並行して行ったのが、「歩き方そのもののアップデート」です。

トレーニングで鍛えた筋肉を、実際の歩行の中で活躍させてあげる作業です。

◯かかとから着いて、つま先でやさしく蹴り出す


◯膝が内側に折れないラインを鏡でチェックしながら練習する


◯一歩一歩、ふくらはぎが軽く働いている感覚を確かめる


最初のうちは、 「意識するとよく分かるけれど、気を抜くと元の歩き方に戻りますね」とAさんも笑っていました。


長年のクセなので、いきなり100%書き換えるのはほぼ不可能です。

そこで、「完璧を目指さないこと」をルールにしました。

◯ウォーキングの最初の5分だけ、フォームを丁寧に意識する


◯疲れてきたら、フォームよりも“痛みが出ていないか”のチェックを優先する


◯「今日は30%くらい意識できたからOK」と、合格ラインを低めに設定する


このくらいのゆるさにすると、忙しい日でも続けやすくなります。

Aさんも「それなら頑張れそうです」と、少しホッとした表情になっていました。



数週間後に見えてきた変化

こうした取り組みを続けていくうちに、Aさんのからだにも変化が出てきました。


◯「歩き始めの膝の痛みが、前よりずいぶん軽くなりました」


◯「階段の下りで怖さが減ってきました」


◯「ウォーキングのあと、足先がポカポカする感じが出てきました」


ご自身でも、「以前の歩き方と比べると、今は“足全体で支えている感じ”がある」と表現されていました。


ふくらはぎの筋肉を触ってみても、ただパンパンに張っているだけでなく、「しっかり使ったあとの張り」に近い状態に変わってきていました。

血糖値については、もちろんウォーキングだけが要素ではありませんが、 定期的な健診で「少し数値が落ちてきましたね」と言われるようになり、 「歩いても膝が怖くないと思えるようになったのが、何よりうれしいです」と笑顔で話されていました。


「とにかく歩く」から「自分のからだに合った歩き方」へ

Aさんのケースを通してお伝えしたかったのは、 「歩くこと自体が悪い」のではなく、「自分の今のからだに合った歩き方とトレーニング量に調整していくことが大事」という点です。



◯下腿三頭筋がポンプとして働きやすい足の使い方


◯大殿筋と内側広筋が膝を支えるチームとして機能すること


◯トレーニング理論にもとづいた、無理のない負荷と回数設定


こうした要素を少しずつ整えていくことで、 「血糖値のためのウォーキング」が 「膝と血流の両方にやさしいリハビリウォーキング」に変わっていきます。 とはいえ、最初から全部を自分一人で組み立てようとすると、情報の多さに疲れてしまうと思います。

「なんとなく不安」「今のやり方で合っているのか確認したい」 そのくらいの気持ちで相談していただいて大丈夫です。


次のまとめの章では、ここまでの内容を整理しながら、 「これからウォーキングを続けたい方が、どんな視点を持っておくと心がラクになるか」についてお話ししていきます。

まとめ:何歩歩くかより、「どんな一歩を積み重ねるか」

この章では、ここまでのお話をゆるっと振り返りながら、「じゃあ私はどうしたらいいの?」という気持ちに、少しでもヒントをお渡しできたらと思います。

きっちりした答えというより、「こう考えると少しラクかもしれませんよ」という視点のプレゼントのようなものだと思って読んでください。


まず一番にお伝えしたいのは、 「健康のために歩こう」と行動を起こしたこと自体は、まちがいなく素晴らしいことですという点です。 結果的に膝が痛くなってしまったとしても、それは「頑張った自分が悪い」という話ではなく、

・歩き方のクセ

・筋力や柔軟性のバランス

・トレーニングの負荷や量


といった“条件設定”がちょっとアンバランスだっただけかもしれません。


にもかかわらず、多くの方が 「私には運動は向いていなかったのかな」 「歳だから無理なのかな」 と、自分の努力そのものを否定してしまいます。


ここが、とてももったいないところだと感じています。

とはいえ、「全部うまくやりましょう」「正しいやり方だけを選びましょう」と言われると、それはそれで苦しくなります。


現実には、お仕事もあれば家事もあり、家族のこともあり、体調も日によって変わります。


教科書のようにきれいな生活リズムで運動するのは、かなりハードルが高いです。

そこで大事になるのが、

「歩き方と筋肉の使い方の“方向性”だけ、少し良い方に寄せていく」 という考え方です。


たとえば、

・膝が内側に入りすぎないように、少し意識してみる


・ふくらはぎがちゃんと動いている感覚を、歩きながら探してみる


・お尻や太ももの内側が軽く疲れるようなエクササイズを、週に数回だけ取り入れてみる


このくらいの小さな修正でも、数週間~数か月というスパンで見れば、膝や血流の状態は少しずつ変わっていきます。


「ジムに通って、週5でトレーニングして、タンパク質もきっちり管理して…」

そんな完璧な生活をしなくても、 “今の自分でもできる範囲で、からだが喜ぶ方向にちょっと舵を切る”だけで十分です。


ここでポイントなのは、「正解は一つではない」ということです。

何歩がベストなのか、何分歩けばいいのか、ネットを調べるといろいろな数字が出てきますが、

・これまでどれくらい動いていたのか


・膝や腰にどのくらい不安があるのか


・仕事や生活のリズムがどうなっているのか

によって、ちょうどいい答えは人それぞれです。

だからこそ、 「1日○歩」といった“誰にでも当てはまる目標”よりも、 「今の自分が無理なく続けられて、痛みを増やさない範囲」を一緒に探す方が、長い目で見るとプラスになりやすいです。

もう一つ、お伝えしておきたい大切なことがあります。


それは、「痛みが出てきたときは、失敗ではなく“サイン”だと考えてみてほしい」ということです。

膝がズキズキしてきたとき、

「やっぱり自分には無理だった」と結論づけるのではなく、 「歩き方か筋肉の使い方か、トレーニングの量か、どこかを見直すタイミングが来たんだな」 と受け止めてみると、そこからの選択肢が増えます。

・一度量を減らしてみる


・自己流トレーニングを少し修正してみる


・専門家に“今の状態に合ったやり方”を相談してみる


こうした微調整を重ねることで、

「痛みのせいで運動をやめる」ではなく、

「痛みが教えてくれたおかげで、より合った方法にたどり着く」

というストーリーに変えることもできます。


フィジオ・リスタート ASHITA 血流リハビリ柏整体院では、

・血流を良くするための筋ポンプの視点


・膝を守るための大殿筋・内側広筋の強化


・トレーニング理論に基づいた負荷の設定


・からだの使い方(ボディメカニクス)の修正


といった要素を組み合わせながら、 「その人にとって現実的で、続けやすい歩き方」を一緒に考えていきます。


もちろん、「毎日きちんとやらないとダメです」と追い込むつもりはありません。


「できる日はやる、しんどい日は最小限にする、それでもOK」というくらいの温度感で、大丈夫だと思っています。


というわけで、もし今、

「健康のために歩きたい。でも、膝や腰が不安で一歩を踏み出しにくい」

「すでに頑張っているけれど、このまま続けていいのか心配」 そんな気持ちを抱えているとしたら、 いったん“歩く量の正解探し”をお休みして、 「歩き方の質」と「自分に合ったトレーニングの方向性」を整えるところから始めてみるのも一つの方法です。


明確なマニュアルよりも、 「こういう考え方なら、少し気持ちが楽かもしれない」と感じてもらえたらうれしいです。


あなたの一歩一歩が、膝にも血流にもやさしいものになっていくように、専門家として、そして同じ“悩む人間側”として、これからもお手伝いしていきたいと思います。

----------------------------------------------------------------------

フィジオ・リスタート ASHITA

住所:千葉県柏市あけぼの1-8-9 長妻ビル102

電話番号:050-3708-0417

----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG