【変形性膝関節症でも諦めない】60代女性が膝の痛みを克服し旅行を実現できた理由とは?
「膝が痛くて長く歩けない」「旅行なんてもう無理かもしれない」——そう感じている方は少なくありません。特に60代以降になると、整形外科で変形性膝関節症と診断され、「年齢的なものですね」と言われてしまい、どこか諦めの気持ちを抱えてしまう方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、実際に変形性膝関節症と診断され、さらに外反母趾も併発していた60代女性のケースです。右膝の内側に強い痛みがあり、歩くだけで辛く、外出すること自体が大きな負担になっていました。以前は趣味だった旅行も、「もう行けない」と半ば諦めていた状態です。
しかし、この方は最終的に「痛みを気にせず旅行に行けるようになる」という目標を達成されました。しかも特別な手術や強い薬に頼ることなく、理学療法の視点から身体を見直し、適切な施術と運動を積み重ねた結果です。
私はこれまで理学療法士として22年以上、さらに教育現場でも多くの方の身体と向き合ってきました。
その中で強く感じているのは、「膝の痛み=膝だけの問題ではない」ということです。
実際、膝の内側の痛みであっても、その原因は足の使い方や股関節、さらには血流や筋肉の働き方など、全身に広がっていることがほとんどです。
今回のケースでも、膝だけでなく、お尻の筋力低下や足関節の硬さ、下腿の筋肉の機能低下などが複雑に関係していました。
これにより血流が悪くなり、回復しにくい状態が続いていたのです。
このブログでは、「変形性膝関節症でも旅行に行けるようになった理由」をテーマに、実際に行った評価や施術、そして改善のプロセスを詳しくお伝えしていきます。
同じように膝の痛みで悩んでいる方にとって、「まだできることがある」と感じていただける内容になれば幸いです。
第1章:変形性膝関節症の痛みはなぜ起こるのか?本当の原因を読み解く
変形性膝関節症と診断されると、「軟骨がすり減っているから痛い」「年齢的に仕方ない」と説明を受けることが多いと思います。
確かにそれも一つの要因ではありますが、実際の臨床現場では、それだけで痛みの強さや日常生活への影響を説明できないケースが非常に多いのが現実です。
今回の60代女性もまさにその一例でした。
レントゲン上では変形が見られるものの、痛みの出方や動きのクセを細かく評価していくと、「膝そのもの」以外の問題がいくつも隠れていたのです。
まず大きなポイントとなったのが、右膝の内側に負担が集中していたことです。
歩くたびに内側に体重が乗りすぎる状態になっており、その結果、関節や周囲の組織にストレスがかかり続けていました。
では、なぜそのような状態になっていたのか。
評価を進めると、いくつかの原因が見えてきました。
○外反母趾による足部のバランスの崩れ
○足関節の硬さによる衝撃吸収の低下
○下腿の筋肉の働きの低下(筋ポンプ作用の低下)
○お尻(大殿筋)の筋力低下
○太ももの内側(内側広筋)がうまく使えていない
特に外反母趾は見逃されがちですが、非常に重要なポイントです。
足の親指が変形することで踏ん張りが効かなくなり、歩行時の重心が不安定になります。
その結果、膝にかかる負担の方向が偏り、今回のように内側へ過剰なストレスがかかる状態が生まれてしまいます。
さらに、足関節の動きが硬くなっていたことも見逃せません。本来であれば、歩行時の衝撃は足首や足裏でうまく吸収されます。
しかし、この機能が低下すると、その負担はそのまま膝へと伝わります。
いわば「クッションが効かない状態」で歩いているようなものです。
加えて、下腿の筋肉の働きが落ちていたことで、血流も悪くなっていました。
ふくらはぎの筋肉は“第二の心臓”とも呼ばれ、収縮することで血液を循環させる役割を担っています。
この筋ポンプ作用が低下すると、膝周囲の組織にも十分な酸素や栄養が届かず、回復しにくい状態が続いてしまいます。 そして見逃してはいけないのが、お尻の筋肉(大殿筋)と内側広筋の機能低下です。
本来、これらの筋肉がしっかり働くことで、膝関節の安定性が保たれ、負担が分散されます。しかし、この方の場合はそれがうまく機能しておらず、代わりに腸脛靱帯や膝窩筋といった部位に過剰な負荷がかかっていました。
つまり、今回の膝の痛みは「変形しているから痛い」のではなく、「全身のバランスが崩れた結果、膝の内側に負担が集中していたこと」が大きな原因だったのです。
このように、変形性膝関節症の痛みを改善していくためには、単に膝だけを見るのではなく、足元から股関節、さらには血流や筋肉の働きまで含めて評価することが重要です。
痛みの背景を正しく理解することで、初めて根本的な改善への道が見えてきます。
第2章:膝の痛みを和らげる理学療法アプローチ|徒手療法で動きを取り戻す
変形性膝関節症による膝の痛みを改善していく上で、まず重要になるのが「今かかっている過剰な負担をいかに減らすか」という視点です。
そのために今回行ったのが、理学療法に基づいた徒手療法です。
来院時、この方の膝は動きが非常に硬く、特に膝のお皿(膝蓋骨)の動きが制限されていました。
本来、膝蓋骨は太ももの筋肉と連動しながらスムーズに上下・左右へと動くことで、膝関節の負担を分散する役割を持っています。
しかし、この動きが悪くなると関節内の滑走性が低下し、結果として特定の部位にストレスが集中しやすくなります。
そこでまず行ったのが「膝蓋骨モビライゼーション」です。
硬くなっていた周囲の組織に対して丁寧にアプローチし、本来の滑らかな動きを取り戻していきました。
施術後には「膝が軽くなった感じがする」とおっしゃるほど、変化を実感されていました。
次に、膝関節そのものの可動域を改善するために「膝関節モビライゼーション」を行いました。
関節の動きが制限されている状態では、どれだけ筋力をつけても効率よく使うことができません。
まずは関節が正しく動く環境を整えることが、改善への土台になります。
さらに今回のケースで重要だったのが、腸脛靱帯や膝窩筋といった「過剰に働いていた組織」へのアプローチです。
本来であればサポート的に働くこれらの筋肉が、他の筋肉の機能低下を補う形で過剰に緊張し、結果として膝の動きを制限していました。
そこで、軟部組織モビライゼーションを用いてこれらの筋肉を緩めていきました。
いわば「頑張りすぎている筋肉を休ませる」イメージです。
これにより、膝周囲の緊張バランスが整い、動きがスムーズになっていきました。
また、施術の中で特に意識していたのが「血流の改善」です。
筋肉や関節が硬くなっている状態では血流が滞りやすく、痛みの回復が遅れてしまいます。
徒手療法によって組織の柔軟性を高めることで、自然と血流も促進され、回復しやすい状態へと導くことができます。
実際、この方も数回の施術を重ねる中で「歩き出しの痛みが軽くなってきた」「以前よりスムーズに足が出る」といった変化を感じるようになりました。
膝の痛みというと、どうしても「鍛えること」に意識が向きがちですが、まずはこうした徒手療法によって身体の状態を整えることが非常に重要です。
土台が整ってこそ、次のステップである運動療法の効果も最大限に発揮されるのです。
第3章:膝の痛みを根本改善する運動療法|大殿筋と内側広筋を正しく使う
徒手療法によって膝周囲の動きや筋肉の緊張バランスが整ってきた段階で、次に重要になるのが運動療法です。
ここでの目的は単に筋力をつけることではなく、「本来使うべき筋肉を正しく使えるようにすること」です。
変形性膝関節症による膝の痛みを抱えている方の多くに共通しているのが、筋肉の“使い方の偏り”です。
今回の60代女性も同様で、本来しっかり働いてほしい筋肉がうまく使えておらず、その代わりに別の部位に負担が集中していました。
特に重要だったのが、お尻の筋肉である大殿筋と、太ももの内側にある内側広筋です。
○大殿筋が弱く、歩行時に骨盤が安定しない
○内側広筋が働かず、膝の内側に負担が集中する
この状態では、いくら膝だけをケアしても根本的な改善にはつながりません。
そこで、これらの筋肉を「正しく使える状態」に導くトレーニングを段階的に行っていきました。
まず大殿筋に対しては、股関節をしっかり伸ばす動きを意識したエクササイズからスタートしました。
ただ単に力を入れるのではなく、「どこに効いているのか」をご本人に感じてもらうことを大切にしています。
感覚が伴わないトレーニングは、日常動作に活かされにくいためです。
実際に最初は「お尻に効いている感じが分からない」とおっしゃっていましたが、フォームを細かく調整しながら繰り返すことで、「ここに力が入るんですね」と徐々に感覚がつかめるようになっていきました。
次に内側広筋のトレーニングです。
この筋肉は膝関節の安定性に深く関わっており、特に膝の内側の痛みを軽減するためには欠かせない存在です。
ただし、やみくもに鍛えるのではなく、膝の向きや足の位置、体重のかけ方を細かく調整する必要があります。
例えばスクワット一つとっても、膝が内側に入ってしまうフォームでは逆効果になります。
そのため、鏡を使いながら動作を確認し、「正しい位置で正しい筋肉が働く」状態を丁寧に作っていきました。
また、見逃せないポイントとして足関節と下腿の機能改善も並行して行いました。
足首の動きが硬いままだと、せっかく大殿筋や内側広筋を鍛えても、歩行の中でうまく連動しません。
そこで、足関節の可動域を広げるエクササイズや、ふくらはぎの筋肉を活性化させるトレーニングも取り入れました。
これにより筋ポンプ作用が改善し、血流が促進されていきます。
血流が良くなることで筋肉の働きも高まり、結果として「動きやすさ」や「疲れにくさ」といった変化につながっていきました。
数週間後には、「長く歩いても痛みが出にくくなってきた」「外に出るのが怖くなくなった」といった前向きな変化が見られるようになりました。
膝の痛みを改善するためには、単に安静にするだけでは不十分です。
正しい評価に基づき、「どの筋肉をどう使えるようにするか」を明確にした運動療法こそが、根本改善への鍵になります。
そしてそれは年齢に関係なく、適切な方法で取り組めば十分に変化を引き出すことができるのです。
第4章:膝の痛みが改善し旅行へ|目標が回復を加速させた理由
膝の痛みの改善において、意外と見落とされがちですが非常に重要なのが「目的」や「目標」の存在です。今回の60代女性にとって、それが「もう一度旅行に行きたい」という強い想いでした。
初めて来院されたときは、「歩くのもつらい」「長く外に出るのが怖い」といった状態で、とても旅行の話ができる状況ではありませんでした。
しかし、丁寧にお話を伺っていく中で、「本当はまた旅行に行きたいんです」という本音を聞くことができました。 このやりたいことは、リハビリや整体を進めていく上で非常に大きな意味を持ちます。
なぜなら、人は明確な目的があることで、身体だけでなく気持ちも前向きに変化していくからです。
そこで私は、「旅行に行ける身体を一緒につくっていきましょう」とお伝えし、そのために必要な具体的なステップを設定していきました。
○まずは痛みを抑えながら10分連続して歩けるようにする
○次に20分、30分と徐々に歩行時間を伸ばす
○段差や階段の昇降動作に慣れる
○長時間の外出に耐えられる体力をつける
このように段階的な目標を設定することで、「何をすればいいのか」が明確になり、不安が少しずつ安心に変わっていきました。
また、経過の中で「今日はここまで歩けましたね」「前よりスムーズに動けていますね」といった小さな変化を共有することも大切にしました。
身体の変化を実感することで、自信が生まれ、その積み重ねが行動の幅を広げていきます。 実際、この方も最初は数分歩くだけで痛みが出ていましたが、徐々に歩行距離が伸び、「買い物に行くのが楽になった」「外に出るのが怖くなくなった」といった変化が見られるようになりました。
そして数ヶ月後、「先生、旅行に行ってきました」と笑顔で報告をいただきました。
その時の表情はとても印象的で、初めてお会いしたときの不安そうな様子とはまったく違い、自信と達成感に満ちていました。
「途中で少し疲れましたけど、痛みは大丈夫でした」「また別の場所にも行きたいです」と、次の目標まで自然と生まれていたのです。
ここで改めて感じたのは、膝の痛みの改善は単に「痛みがなくなること」がゴールではないということです。本当の意味での改善とは、「やりたいことができるようになること」、つまり生活の質(QOL)が向上することだと考えています。
変形性膝関節症と診断されると、「もう元には戻らない」と思ってしまう方も多いかもしれません。
しかし実際には、身体の使い方や血流、筋肉の働きを整えていくことで、できることは確実に増えていきます。
そして何より、「どこに行きたいか」「何をしたいか」という想いがあることで、その回復のスピードは大きく変わります。
もし今、膝の痛みで行動を制限されている方がいれば、一度ご自身に問いかけてみてください。
「本当は何をしたいのか」と。その答えが、回復への大きな一歩になるかもしれません。
まとめ
変形性膝関節症による膝の痛みは、「年齢のせいだから仕方ない」「軟骨がすり減っているから治らない」と言われることが多く、そのまま諦めてしまう方も少なくありません。
しかし今回ご紹介した60代女性のように、適切な理学療法を行うことで、痛みの改善だけでなく「旅行に行けるまで回復する」という変化は十分に起こり得ます。
大切なのは、「膝だけを見ないこと」です。
今回のケースでは、外反母趾による足部のバランスの崩れや、足関節の硬さ、下腿の筋機能低下による血流不足、さらには大殿筋や内側広筋といった本来使うべき筋肉の機能低下が複雑に絡み合っていました。
こうした全身の状態を丁寧に評価し、一つひとつ整えていくことが、結果的に膝の負担軽減につながります。
また、徒手療法によって関節や筋肉の状態を整えたうえで、運動療法により正しい身体の使い方を身につけていくことも重要なポイントです。
特に血流の改善は見逃せない要素で、筋ポンプ作用がしっかり働くようになることで、回復力そのものが高まり、痛みの出にくい身体へと変わっていきます。
そしてもう一つ忘れてはいけないのが、「目的を持つこと」です。今回のように「旅行に行きたい」という明確な目標があったことで、身体の回復だけでなく気持ちの面でも前向きな変化が生まれました。
結果として、その積み重ねが行動につながり、最終的に目標を達成することができたのです。
私自身、理学療法士として22年、多くの方の身体と向き合ってきましたが、痛みの背景には必ず理由があります。
そしてその多くは、正しく評価し適切に対応すれば改善の余地があります。
身体だけでなく、自律神経やストレス、生活習慣まで含めて見ていくことが、本当の意味での改善につながると実感しています。
もし今、膝の痛みで悩み、「もう良くならない」と感じている方がいれば、一度立ち止まって身体の状態を見直してみてください。
やり方次第で、できることはまだまだ増えていきます。
「また旅行に行きたい」「もっと自由に歩きたい」——その想いを実現するために、身体はきっと応えてくれます。
適切なサポートと正しいアプローチで、あなた本来の生活を取り戻していきましょう。
フィジオ・リスタート ASHITA
住所:千葉県柏市あけぼの1-8-9 長妻ビル102
電話番号:050-3708-0417
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